カルチャー・クラブ:ポップ化するニューウェイヴ
New Wave #13.Culture Club : Colour by Numbers
ボーイ・ジョージ(Boy George)の奇抜な女装、そのファッションとメイク、そしてソウルフルな歌声とダンス・・・1982年「君は完璧さ(Do You Really Want to Hurt Me)」を初めて見たときの印象はもっぱらボーイ・ジョージだった。カルチャー・クラブ(Culture Club)は、ニューウェイヴをポップな方向へと大きく展開させていく。
カルチャー・クラブのブレイクには目を見張るものがある。1982年に「君は完璧さ」(全英1位/全米2位)がヒットすると、続いて「タイム(Time―Clock of the Heart)」(全英3位/全米2位)、「アイル・タンブル・4・ヤ!(I'll Tumble 4 Ya)」 (全米9位)がヒット。1983年にセカンド・アルバム『カラー・バイ・ナンバーズ(Colour by Numbers)』(全英1位/全米2位)が発表されると、続いて「チャーチ・オブ・ザ・ポイズン・マインド(Church of the Poison Mind)」(全英2位/全米10位)、「カーマは気まぐれ(Karma Chameleon)」(全英1位/全米1位)、「ヴィクティムズ(Victims)」(全英3位)、「ミス・ミー・ブラインド(Miss Me Blind)」(全米5位)、「イッツ・ア・ミラクル(It's a Miracle)」(全英4位/全米13位)とヒットを飛ばす。「戦争のうた(The War Song)」(全英2位/全米17位)からは失速していくが、ここまでヒット曲を連続したのは特筆すべきだ。・・・日本語で歌ったから失速した、と思ってしまうのは気のせいか。。。
カルチャー・クラブのヒットにはヴィジュアル面が欠かせないが、それにはMTVの存在が大きかった。サービス精神旺盛な楽しませる作りはMTVあってこそだ。ボーイ・ジョージは、まさにMTV時代の申し子と言えるだろう。ワシが特にぶっとんだのは「ミス・ミー・ブラインド」。江戸、愛情、甘酒・・・って、おい! 日本かと思ったら、タイとコラボしてムエタイは出てくるし、「めらめらと燃えている」つうのは何なんだ・・・とゲラゲラ笑ってしまうのだが、これも親日家ボーイ・ジョージのサービス精神なのだろう。
カルチャー・クラブはやはりニューウェイヴだ。この時代多くのヒット曲を放って、ニューロマンティックと呼ばれたバンド、デュラン・デュラン、スパンダー・バレエ、カジャグーグー、ユーリズミックスなどと比べると、カルチャー・クラブの楽曲はリズムやコンセプトで格段に秀でている。レゲエ、ダブ、カリプソ、ファンカラティーナから、ソウル、ゴスペル、ファンク、モータウンといった要素をポップに昇華していくカルチャー・クラブの感覚は見事としか言いようがない。カルチャー・クラブのポップさも、レコード会社の思惑に従うものではなく、時代の流れを先読みして作り上げていったもので、ボーイ・ジョージの個性を活かそうとしたジョン・モスの作戦勝ちといったところか。いずれにせよ、カルチャー・クラブが一時期ニューウェイヴの寵児となったことは否定できない。
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