レッド・ツェッペリン:ホワイト・サマー、ブラック・マウンテン・サイド~カシミール
レッド・ツェッペリンのブートレッグの中で、一番カッコいいナンバーは「ホワイト・サマー」「ブラック・マウンテン・サイド」から「カシミール」に入る演奏だった。特に「カシミール」に入るところは、おお~っ!てな感じだった。ブートレッグのタイトルははっきりと覚えていないが、1979年ネブワースのライヴではないかと思える。
「ゴナ・リーヴ・ユー」の記事でも触れたが、「ブラック・マウンテン・サイド」はバート・ヤンシュの「Blackwater Side」が原曲であり、「ホワイト・サマー」はデイヴィ・グレアムの「She Moved Through the Fair」が原曲だ。原曲があったとしても、「ホワイト・サマー」と「ブラック・マウンテン・サイド」が色あせないのは、ジミー・ペイジのギタープレイによるのだろう。また見落としてはならないのは、DADGADチューニングを広めたことだろう。
ジミー・ペイジのオープン・チューニング(変則チューニングともいわれる)の中で、最も有名なのがDADGADチューニング。これはCIA(Celtic, Indian & Arabic)チューニングとも言うが、ジミー・ペイジはこう語る。
「あれがぼく流のCIAさ。ケルトとインドとアラブの融合っていうね。あのギターは、スタンダードなインドのシタールにすごく似せたチューニングがしてあるんだ。とは言ってもゴタマゼであることに変わりはなくて、インドっぽいところもあれば、アラブっぽいところもあったりする。で、最終的に出来上がった曲は、そういう組み合わせというか、融合のさせ具合が、やっぱり西洋音楽ぽくなっちゃうんだな」
「カシミール」の歌詞は、ロバート・プラントがモロッコ南部のサハラ砂漠をドライブしていたときに書かれたもので、「見失った故郷を求めての放浪」をテーマにしており、現実のカシミールがイメージの源泉になったわけではない。ロバート・プラントは言う。
「あの道が、とにかく延々と続いてるってところから、全部の歌詞が浮かんできた。砂漠を縦断する、一車線の道路だった。西にも東にも、2マイルほど向こうには砂岩の山並みが連なっている。すごく荒れ果てた道でね、だんだんと川の底を走っているような気分になってくるんだ。しかも、いつまでたっても終わらなくて……『太陽がぼくの顔を打ちつけ、星々がぼくの夢を満たす』――この歌詞はぼくのお気に入りのひとつ。それに“イン・ザ・ライト”とあと2, 3曲ほど、ほんとにいいと思える歌詞がある。でも“カシミール”は極めつけだ。すごくポジティヴな歌詞だと思うし」
後に、ロバート・プラントは「カシミール」を“The Pride of Led Zeppelin (レッド・ツェッペリンの誇り)”と呼んでいる。ジョン・ポール・ジョーンズは、「すべてが揃っている。このバンドに欠かせない要素のすべてが」と言う。
解散後3人のメンバーが口をそろえて言うように、この「カシミール」こそ、まさにレッド・ツェッペリンの精髄と言えよう。
Led Zeppelin : White Summer / Black Mountain Side (Knebworth 1979)
Led Zeppelin : Kashmir (Knebworth 1979)
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