植物人間の意識は正常!
2007年4月12日…と、ちょっと前の話になってしまうが、19年間植物状態に陥っていたポーランドのヨウ・グラフスキンさんが奇跡的に目覚めたというニュースを最近知った。この回復には、奥さんの献身的な介護があったようで、19年間の長きにわたる苦労を考えると、ついついほろりとしてしまう。やはり愛の力は強いのだなぁ。。。
そして見落としてはならないのは、その19年間のヨウ・グラフスキンさんの意識状態だろう。グラフスキンさんは、自分が植物状態に陥っていた間の様子について、次のように語ったという。
動くことが出来なかったとき、私の身の回りで発生したことは全部分かっていました。ただ体を動かすことができず、話すこともできなかったので、毎日寝たきりで、気持ちがとても焦っていました。私を献身的に介護している妻の姿を見て、学校から帰ってきた子供たちが私の周りでうろうろしている様子を見て、隣の部屋で子供達が結婚式をあげた時の嬉しい笑い声を聞いて、孫達の可愛い顔を見て、私はとても焦っていました。言いたい事が何も表現できなかったからです。今、私は少しずつ昔のことを思い出しています。
19年の間、聴覚、視覚、思考、記憶など大脳の機能はすべて正常に働いていた。ただ動くことが出来ず、自分の感覚、感情を表現することができなかったのだという。遷延性植物状態の患者の意識が正常に働いていることが、ここで明らかになったと言える。
小松美彦教授はその著『脳死・臓器移植の本当の話』で、植物状態を意識障害ではなく、コミュニケーション障害だととらえる、元・千葉療護センター長の堀江武氏の見解を紹介していた。今回のニュースは、まさにその見解の裏付けとなったのではないだろうか。
「脳死・臓器移植の真相」で、オーストラリアの生命倫理学者ピーター・シンガーが、人命に価値の序列をつけることを主張し、脳死者、遷延性植物状態の患者、無脳症児、皮質死状態の新生児を、「意識を回復する見込みがまったくない」として切り捨てようとしていることを紹介したが、今回のケースはどうなのかと問いただしてみたい衝動に駆られる。「19年間植物状態に陥っていた患者が回復した今回のニュースを、あなたはどうとらえているのか? それでも『切り捨てる』と言い放つことができるのか?」と。
ここで、我龍待合室で書かれた関連記事を挙げておきます。
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