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2007年2月13日 (火)

ジェネシス:サパーズ・レディ(Supper's Ready)

ジェネシス(Genesis):フォックストロット(Foxtrot)サパーズ・レディSupper's Ready」はジェネシスの4枚目のアルバム「フォックストロット」に収められている22分54秒の大作である。7部構成からなるこの曲は、壮大な楽曲の中に、黙示録のテイストを盛り込んだ複雑な歌詞で成り立つもので、当然ここで語り尽くせるようなものではない。ここでは、『ピーター・ガブリエル正伝』『フールズメイト Vol.11』『ストレンジ・デイズ No.67』『ジェネシス・ソングブック(The Genesis Songbook)』を参考に、「サパーズ・レディ」の輪郭を我龍で彫り刻んでみたいと思うのだ。



ピーター・ガブリエルが「魂をこめて、命がけで歌ってた」という「サパーズ・レディ」だが、それは、ガブリエルが当時の妻ジルとプロデューサーのジョン・アンソニーとともにLSDをやったときに見た幻覚がきっかけになっている。風もないのにカーテンが広がり、部屋の中が凍りつくぐらい寒くなる。外の芝生に白いマントを着た人影がいくつも見える。部屋全体の雰囲気が変わってしまったとき、ジルはトランス状態に入り、まるで霊媒にでもなったみたいに変な声で話し始め、まるで獣のように見えた。ガブリエルはこう語る。

あの時点で悪という感覚を経験しました。ぼくの中にそれがどれくらいあるかは分からないし、実際悪というものがどの程度はびこっているのかは分からないけれど、忘れられない経験ですし、善と悪の対決を描くきっかけになりましたね。

このガブリエルの体験が、パート1「Lover's Leap」の歌詞となって表れる。愛する二人はお互い相手を見失い、別の男女の体となって再会したという。



ピーター・ガブリエル:mask ガブリエルが思索した善と悪とは何だったのか。それを解く鍵が、ジェネシスのライブ・ステージでガブリエルが語る創作寓話にある。そもそもこうした創作寓話は、楽器のチューニングや機材の故障を直す時間稼ぎのために始められたのだが、歌詞内容を補完するものになっていることも事実だ。「サパーズ・レディ」の演奏前には、「年老いたマイケル」の話が語られた。

年老いたマイケルは、決して閉ざされることのない公園の中へと、決して開くことのないペット・ショップへと歩いていった。その公園は、スムーズに行き届いていて、非常に清潔な草が一面に生えていた。マイケルは服を全部脱ぎ、そして彼のピンク色のぐにゃぐにゃした肉を濡れた清潔な草の中へこすり始めた。その地面の下では汚い茶色い虫たちが降雨のようにパラパラと演奏していた。虫たちの世界では、降雨は2つのことを意味していた。“バス・タイム”――なぜって虫たちは清潔にしているのが好きだから。そして“からまる時”――なぜって虫たちは汚くしているのが好きだから。ちょっとの範囲内、その公園は不潔なじめじめした身もだえする茶色の虫たちで覆われていた。年老いたマイケルは短い曲を鼻歌で歌うことに満足しきっていた。我々にとって「エルサレム・ブギ」であるものが、小鳥たちにとっては「夕食の準備が整った(Supper is Ready)」ということを意味していた。

閉ざされることのない公園と開くことのないペット・ショップ、清潔な草と汚い茶色い虫――対照的なシチュエーションの中で、虫たちにとっての降雨の両義性が語られる。そして、人間たちの“エルサレム・ブギ”が小鳥たちの“夕食の準備”となっているといった、価値観の相対性が提示される。善悪の価値観も、所詮は社会的観念に左右される相対的なものでしかない。



ピーター・ガブリエル:花のマスク ピーター・ガブリエル:箱のマスク 73年、74年と2年連続で、メロディ・メイカー紙のベスト・ライブ・アクトにジェネシスは選出されているが、この「サパーズ・レディ」を理解する上でも、ジェネシスのライブ・アクトは外せない。「サパーズ・レディ」のライブ・ビデオについては、「Genesis : Supper's Ready」にまとめておいたが、ここで重要なのは、やはりガブリエルのパフォーマンスである。「サパーズ・レディ」は、次のようにパフォーマンスが展開される。

パート2の「The Guaranteed Eternal Sanctuary Man」で、ガブリエルは茨の冠を着ける。パート5の「Willow Farm」では、曲想が大きく変化するが、そこでガブリエルが着けるのはフラワー・マスク。花に変身したナルシスと重なる。その後、8分の9拍子のリズムとともに、曲は力強いクライマックスへと向かうが、そのパート6「Apocalypse in 9/8」では、ガブリエルは反キリストを示す赤い幾何学的な形をした箱を頭にかぶり、黒いマントを着けて登場する。最後のパート7「As Sure As Eggs Is Eggs」に近づくと、そのかぶり物とマントを投げ捨てて、下から天使のようにまぶしい白の衣装を見せる。そして、最後の一節「彼らを新しいエルサレムに連れて行け」と歌ったあとには、紫外線を発光するチューブをかざす。

これらのパフォーマンスは、歌詞を補完するだけではなく、「サパーズ・レディ」の世界観を明確化していくものと言えた。



Apocalypse in 9/8」で提示された黙示録の風味が、「As Sure As Eggs Is Eggs」ではさらに色濃くなる。そこでは『ヨハネの黙示録』第19章が引用されている。

また見ていると、ひとりの御使が太陽の中に立っていた。彼は、中空を飛んでいるすべての鳥にむかって、大声で叫んだ、「さあ、神の大宴会に集まってこい。そして、王たちの肉、将軍の肉、勇者の肉、馬の肉、馬に乗っている者の肉、また、すべての自由人と奴隷との肉、小さき者と大いなる者との肉をくらえ」。――『ヨハネの黙示録』 19:17-18

ここで「Supper」は「神の大宴会(the great supper of God)」の意味となる。創作寓話で提示された「小鳥の夕食」は、「神の大宴会」へと変貌を遂げたのだ。我々は果たして、花嫁のように着飾った新しいエルサレムを見ることができるのだろうか。



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ロックンロールまんだら」カテゴリの記事

コメント

遅ればせながらトラックバックありがとうございました。Holy Knebworthです。

すばらしいSupper'S Readyの解説、とても参考になりました。私、英語が苦手なもので・・(笑)

Supper'S Readyは、当時のガブリエルとバンドメンバーのエネルギーがいろんな意味で渾然一体となって昇華した結果産み落とされた作品だと理解してます。永遠に語り継がれるべき名作であることは全く異論がないのですが、私的には次作のSelling England By The Poundこそ、サウンド面でのピーター時代の最高傑作ではないかと思っています。このアルバム、歌詞の面から見ると、どうなんでしょう? よろしければご意見聞かせてくださいませ。

Holy Knebworthさん、ようこそ! ブログは拝見しております。

私も英語はよくできないんです。それで、この記事には歌詞がダイレクトに出てこないわけです ^^; 「サパーズ・レディ」の資料になればと思って書きました。

「Selling England By The Pound」をサウンド面でのピーター時代の最高傑作とする意見には賛成です。歌詞の面は……偉そうに言える立場ではありませんが、我龍で書きます。

「Selling England」より前のアルバムでは、ファンタジーの歌詞と現実認識の歌詞とがはっきりと分かれているような感じがします。例えば、「Nursery Cryme」では"Harold The Barrel"、「Foxtrot」では"Get 'Em Out by Friday"が現実認識の歌で、他は大体ファンタジーです。「Selling England」の場合は、ファンタジーと現実認識がうまい形で混じり合っており、かなりコクのある歌詞になっているのではないでしょうか。「Broadway」になると現実認識の比重がもっと高まりますよね。ファンタジーを軸にして考えると、当時のジェネシスの歌詞の色合いが出てくるように思えます。

早速のコメントありがとうございます。

現実認識とファンタジーという見方による分類は、確かにアリですね。

Sellingの歌詞は、そういう意味でも、FoxstortとBroadwayの中間点に位置してるのかもしれません。

Broadwayの歌詞は、現実認識としての意味合いを、それまでとはちょっと方法論の違うファンタジーとして提示するというチャレンジを、ガブリエルが実践したという見方もできるのではないかと思います。

ただ、これは恐らく他のメンバー(特にトニーバンクス)には受け入れられなかったのだと思いますが。その証拠に、その後の歌詞は、以前のような2軸にまた戻っていっているようですから。

レス遅れました。

> Broadwayの歌詞は、現実認識としての意味合いを、それまでとはちょっと方法論の違うファンタジーとして提示するというチャレンジを、ガブリエルが実践したという見方もできるのではないかと思います。

この意見はなるほどと思いました。そのあたりがBroadwayのライブ・パフォーマンスに出てくるんでしょうね。Broadwayの歌詞はなかなか濃密で、言及するのは大変だと思いつつも、ちょっと我龍の見解を…

このBroadwayで外せないのは、レエルが兄と同一化してしまい、最後に「it」っていうのは実はどこにでもあるんだと提示されるところだと思います。ここには、「外側の世界を規定しているのは、私たちの内側・心でしかない」といった認識が存在するように思います。

とすると、「The Carpet Crawlers」の歌詞にあった「You gotta get in to get out」という言葉が重要になるのですが、このあたりは「サパーズ・レディ」の最初にある彼女の顔が変貌してしまったというところと通じるものがあり、ガブリエルのソロの病的な歌詞に移行していくようにも思えるのです。……やはりBroadwayに言及するのは大変だなぁ。

ところで、ピーター時代のジェネシスって、ガブリエルとトニー・バンクスがよくぶつかっている印象があります。間を取り持っていたのは、フィル・コリンズなんでしょうか?

こんにちは。ホントBroadwayは難しいですね。その後のピーターのソロにこれがつながっていくという考えも、なるほど、ですね。

>ところで、ピーター時代のジェネシスって、ガブリエルとトニー・バンクスがよくぶつかっている印象があります。間を取り持っていたのは、フィル・コリンズなんでしょうか?

ピーターガブリエル正伝にこんなくだりがありました。Broadwayのレコーディング時のメンバーの緊張関係に言及したところです。

「フィルは言い争いの場には入ってこないで、逃げを決め込む傾向があった」(ピーターの証言)

「俺はいつもピーターの側についていた。マイクはトニーの味方をするのはわかっていたから、彼(ピーター)は俺の応援を期待していたんだ」(フィルの証言)

かなり食い違ってますが、フィルの性格から考えても、彼が何とかバンドをまとめてうまく物事を進めようと努力していたようには思えます。でも、ピーターはあまり味方してもらったという意識はなかったみたいですね。

Holy Knebworthさん、「ピーターガブリエル正伝」の引用ありがとうございます。なるほど、フィルだけでなく、マイクも苦労してたんですね。でも、こうしたぶつかり合いの中で、ジェネシスの名作が生まれてきたわけですから、歓迎すべきことでもあるのかもしれませんね。

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NO.00774 ジェネシスのアルバム『インヴィジブル・タッチ』 『洋楽初心者に薦めるアルバム表と裏「AtoZ」』 【G】(表) ジェネシスをプログレバンドと知った時は驚きました。 だってピーター・ガブリエルと言う“奇人”を知るまでは、このアルバムが....... [続きを読む]

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