Ballroomな夜
ロンドン郊外でデ・ダナン(De Dannan)のコンサートがあった。アルバム「Ballroom」が発売されてまもなくのことで、わくわく気分。アイルランドでは聴く機会に恵まれなかったデ・ダナンなのである。
デ・ダナンの最高傑作と言うと、「Anthem」か「Star-Spangled Molly」を選ぶ人が多く、その次に「Ballroom」って感じかと思うのだが、今回はそうした評価をするんじゃなくて、コンサートの思い出と、ドロレス・ケーンの歌声を讃えてのボールルームなのだ。まずはちょっとお耳を拝借って感じで、「Ballroom」トップのホーンパイプを。
♪「The Rights of Man/The Pride of Petravore」を聴いてみる。
泊まっていた安宿からは比較的近く、バスであっという間。着いた所は、イギリス風ライブハウスというより、こぢんまりとしたパブだった。確かに、ライブのできるスペースはあるのだが、「え、こんなに近くで見られるの?」ってくらいこぢんまり。驚きと期待で、やっぱしアイルランドはギネスだよねと、黒ビールをちびちびやりながら待つ。
時間が近づくと、「あれっ」って感じ。フィドル・超バカテクのフランキー・ゲイヴィンが客席で話している。他のメンバーもあちこちにいて、ありゃりゃ家庭的な雰囲気だなって思ってたら、メンバーが客席から出てきて(笑)、ステージにつく。まさにアイリッシュ・クオリティなのだ。
演奏はとにかく感激。フランキー・ゲイヴィンのフィドル、アレック・フィンのブズーキとギター、マーティン・オコナーのアコーディオン…と、めちゃうまなのだが、ワシが最も注目したのは、ジョニー・“リンゴ”・マクドナーのバウロンだった。バウロンというのは、本当に一枚皮の太鼓なのだが、その音の多彩なこと。ジョン・ボーナムのスネアとフィル・コリンズのスネアとビル・ブラッフォードのスネアをすべて鳴らしてしまうという…って、全くわけわかんない比喩だな、おい!・・・左手で太鼓の張りを調節して音を出すのだが、ロールまでしてしまうっつう、その多彩さは全く不思議なほどなのだ。写真はそのリンゴです。
そして書き忘れてはいけない。何と言っても、ボーカルのドロレス・ケーン。とにかく絶品の歌。このころ絶頂期だったこともあって……聞き惚れた。だが、ワシの視線はなぜか美人チェリストのキャロライン・ラヴェルの方に行ってしまうのであった(笑
まあ、それはともかく、ドロレス・ケーンを讃えるということで、「Ballroom」から「テディ・オニール」。魂が揺さぶられる歌声をどうぞ。
アイルランドのコンサートは、大抵途中休憩の懇親会?の時間が入るのだが、このときもそう。なんとメンバーが客席に来て、お友だちノリの会話をするではないか。ワシも話したかったのだが、なんせ英語がダメ(泣)。だれか友だち連れてくればよかったな、とマジ思った。
そんな感じで後半も素晴らしい演奏だったわけだが、デ・ダナンってリハーサルを全くしないそうだ。キャロライン・ラヴェルは「次は(キーが)Dだと言われるだけなの。ほとんどの曲がDなのに(笑)」と言う。う~ん、さすがというか、その演奏力やノリは半端じゃないのだな。
帰りはバスもないので、てくてく歩いた。夜の闇がオレンジの街灯に照らされていたのを覚えているが、夜がいつまでも明るい6月終わりのころだったから、もう12時を回っていたのかもしれない。眠りに就いたロンドン郊外の工場や貨物列車などを見ながら歩いていると、リールのノリが甦ってくる。ギネスの味もあいまって、最高の気分で酔ったBallroomな夜だったのだ。
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